2024.06.16
一般
漏水調査の方法
期間をかけ、地下の水道管が漏れると、その周囲では空洞化が形成されたり、異状な音が発生してきます。これらについて、漏水調査機器を用いて捕捉することにより水漏れ箇所を特定します。音聴調査やトレーサーガス調査(TG工法)をはじめとする一般方式から、電磁波による特殊工法までご説明します。
音聴棒(おんちょうぼう)
<機材>
音聴棒(おんちょうぼう)は、漏水調査で使用される一般的な道具です。1~2m程度の長い棒状の形状をしており、止水栓や蛇口へ棒の先端を当てると、上部の筒状のところから音が増幅され聞こえます。
音聴棒のルーツは第一次世界大戦、敵の塹壕を掘る音や地上を移動する音について、木製のステッキで地下から察知したことにあると言われています。
聞こえる音の質や強弱から、漏水地点が近い(又は、遠い)といった推測を行います。
<弁栓部で漏水音が聞こえる仕組み>
漏水すると周囲の埋設土や管の欠損口が水によって削り取られる為、その摩擦や衝撃により異状な音(漏水音)が発生します。この音は管内の流体や管表面を伝播し、減衰を伴いつつ弁や蛇口へ響いていきます。
路面音聴調査(ろめんおんちょう)
<機材>
路面音聴調査とは、道路の路面から音を聞き取る調査方法です。
機材は漏水探知器(ろうすいたんちき)を使います。探知器は、ピックアップと呼ばれる平型のセンサーが付いています。このセンサーを伝って地面から響いた音は、本体で電気的に増幅された後、ヘッドホンから聞こえる仕組みです。目的の音を聴き分けやすい様に、フィルターが付いています。
<帯域の目安(弊社実地データ)>
・マンションや住宅の小口径樹脂管(HIVP20前後 300Hz)
・連結送水管をはじめとする金属質の消火配管(65前後 600Hz)
・水道本管などの大口径管(800Hz~)
相関法(そうかんほう)
<機材>
相関とは、2つ以上の変数の間に存在する関係性を示す統計の概念です。相関式調査とは、相関の原理に基づき漏水箇所を特定する機械演算方式によるものです。
相関式漏水探知器とよばれる機器を使用します。バルブなどへ子機センサーを設置します。センサーに到達する音波(漏水音)は、親機へ無線で送信されます。親機は送られてきた情報を元に、各センサーへ帰着する音波の返り時間差を相関演算します。これにより、音源(漏水箇所)について、センサーからの距離で示します。
<特性>
親機へは配管の長さ、口径、材質を厳正に設定します。配管屈曲部等や乱流箇所より生じるノイズ、航空機が発する空中からの騒音や振動等は精度へ干渉します。その為、フィルター設定を効果的に調整する必要があります。
低周波法(ていしゅはほう)
<機材>
低周波(Low frequency)とは、電磁波や音波をはじめとする周波数において、比較的低い帯域示すものです。
従来型の調査では、漏水箇所より生じる高周波を捕捉対象としています。それに対し、当方式は超低周波帯域を捕捉します。
<特性>
低周波帯域は、医療機器や工業機器をはじめ、様々な分野で利用されています。音波における低周波としては、100Hz以下の帯域を示します。低周波は干渉を受けにくく、減衰が少ないという特性が科学的に証明されています。これを応用し、微量な漏水、深い箇所の漏水、コンクリート面下の漏水にも効果的な調査方式であり、近年に開発されました。
地中レーダ法
<機材>
地中レーダ機から地下へ電磁波(パルス)を照射します。それに伴い反射される波形(レーダ画像)を解析し、漏水箇所を発見する仕組みです。
<特性>
漏水箇所のほか、地下の水量滞留、空洞、地盤の陥没についても同時に解析を進めます。水道本管や、基地などの大口径管の調査に用いられます。レーダ画像をモニタリングし、空洞の形成など時間軸による変化も診断します。
トレーサーガス調査(TG工法)
<機材>
トレーサーガス(チッソ、ヘリウムガス、水素)を蛇口などから管内へ放出します。漏水箇所から地上へ浮遊してくるガスについて、濃度を測定する事により漏水箇所を発見します。
<特性>
ガスの浮き上がる性質を応用した調査です。地表面が厚みを帯びたコンクリート面やタイルなど、透過性の低い条件の場所では難しくなります。
トレーサーガスは、管に水が入っていると希釈されてしまう為、検知が難しくなってしまいます。管内の水抜きを十分に行いドライの状態で実施します。