2025.03.01
地下探査
路面下パイプライン 地下状況・漏水箇所の複合調査(2)地中レーダ画像
先の記事「路面下パイプライン 地下状況・漏水箇所の複合調査」の2回目。地中レーダ画像に関し、一般の方にも分かりやすい様にご説明しておりますので、ぜひご一読ください。
◇現場の概況
占有位置:主要道
口径:800mm、導水管
経緯:一般方式では漏水発見困難とのご相談を頂く
■計画(現地下見、基礎条件を踏まえた漏水調査方法の策定)
本管は防食性厚手のフィルム(ポリエチレンスリーブ)で保護されていることが通常です。漏水音が聞こえる・聞こえないで音聴調査を繰り返す以前に、スリーブの気密性によって異状反応が路面まで届いていない可能性があるものと推察し、漏水調査方法として地中レーダ法の採用をご検討いただきました。
■地中レーダ法
地中レーダ走査によって実際に得られた地中断面画像です。水平方向は走査位置、垂直方向は深度を示しています。尚、わかりやすい様に、左側の像は漏水箇所発見時のもの、右側の像は修繕後のものを比較しました。

■反射速度の違い
中段よりやや下に水平状の反射がみられます。こちらは導水管の長手方向の断面を示しています。水平距離3m付近を境界とし、その前後では段差が生じています。一般的には埋設深度が異なっているとの解釈ができますが、当位置での設計では埋設深は一定です。そこで深度条件を除いて考えると、電磁波そのもの速度の違いが挙げられます。これを現場レベルで考えると、管材質の違いによる影響が挙げられます。事実、当位置について管割を確認すると異種管種である事が分かりました。
■反射波形の途切れ
次に水平距離3mについて着目します。画像に連続性そのものが失われている事がわかります。つまりは電磁波の跳ね返りが弱い状態です。
以前の記事で電磁波と水分の関係について触れましたが、これが地中レーダによる漏水箇所特有に得られる表現となることが分かります。漏水による影響が顕著であるため、電磁波の反射速度が遅くなる代表的なパターンです。
更に、前述の二つの要素を総合すると、漏水は異種管の接続箇所付近であると所見されます。
■深度方向の反射表現
凡そ全体的に反射の乱れは少なく、地下空洞で生じる様な多重反射の表現は見られません。この事から、漏水は生じているものの、現段階では直ちに二次災害に発展すべく地盤の異状は表現されていないと所見されます。また、水平方向に地層表現が為されていることは、即ち電磁波が埋設土の存在によって反射されている状況ともいえます。
■解析のプロセス
以上のように、地中レーダ画像の解析とは単に反射波形を推定するだけではなく、対象物標について解析プロセスを慎重に踏むことにより、密度の濃い実際的な結果へと結びつくものとなり、いわば調査の要点ともいえます。水湿に伴う表現は一般的な地中レーダ探査にける反射表現とは特異であり、漏水を扱っている弊社では創業時よりこれに着目し、多くの解析を行ってきました。

地中レーダによる現場作業
□弊社の特色(漏水調査技術と地中レーダ探査技術の複合)
一般的に地中レーダ法といえば埋設物調査ですが、弊社の場合は漏水、地盤関係への調査に重点をおいている点が特徴です。配水本管の漏水現場に対して行う場合、漏水調査技術と地中レーダ探査技術を併せ、漏水箇所、並びにその二次災害となるべく路盤支持力への影響を含め結果を出していきます。
後述のレポートでは、結果図を交えご説明していきたいと思います。
現場では専任の技術者にてご対応させていただきます。配水管をはじめ、工場や施設の構内通路、一般敷地内におけるレーダ調査も行っておりますのでご相談ください。